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ケフカについて書きます。二次創作あり(文章) 小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
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「ケアル。」
セリスが唱えると白い光が生じ、傷を包んだ。
目を伏せた横顔が光に照らされて、淡く浮かぶ。
さっき自分がかけた魔法とは異なり、セリスの魔法は温かく、柔らかい。
ズキズキと訴えていた痛みが、少しずつ和らいでいった。
傷が、すぅと音を立てるかのように、薄まっていく。
魔法が何故か、私の気分まで和らげる。
「どう?」
「だいぶ良い。」セリスが聞いたので私は答えた。
「効いてくれてるなら良かった。」
セリスは少し微笑みながら言って、傷薬を取り出す。
「セリス。」
私は手当てを続けるセリスに声をかけた。
「何?」セリスは顔を上げた。
「君はケアルが得意だったか?」
「どういうこと?」私が聞くと、セリスは少し首をかしげた。
「やけに効いている気がするんだ。」
私は言った。
「そう?特別なことはしてないつもりだけど。」
セリスは、不思議そうな顔をした。
「そうか。」私は呟いた。
部屋の明かりを増やさぬままで、薄暗い。
時間が少しずつ流れる。
セリスが動く毎に衣服が擦れる音や薬瓶を置く音。
私の手のひらに丁寧に薬を塗り、包帯を巻いていく。
冷たさが心地良い。
私は手を差し出したまま、黙ってその様子を見ていた。

「これで良いわ。」セリスは言った。
「すまない。」
「いつも、助けてもらってばかりだから、これくらいはさせて。」
セリスは言った。
「そんなことを気にしてたのか。」
私が聞くと、セリスはこくり、と頷いた。
「傷がもう痛くない。それで十分だよ。」
「…。」
セリスは何やら不満そうだ。
私は言った。
「そうだな…今日は何も食べていないんだ。付き合ってくれ。」

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