ケフカについて書きます。二次創作あり(文章)
小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
時間はあっという間に過ぎ去った。
日が少し傾きつつあるが、話した時間は30分もあっただろうか。
「あと聞きたい事は?」
ケフカは言った。
「ううん。大丈夫。あとは実際にしてみてからね。」
セリスはそう答えた。
が、その瞳は頼りなげに揺れて、声が幾分弱々しい。
(強がっているようだ。)
そうケフカは思う。
セリスには弱気の時に声が小さくなる癖がある。
(そこは治ってないな。)
ケフカは思った。
セリスは大丈夫と言ったが、前任の話を少し聞いただけで、その責を担える程、その仕事は甘くはない。
重責を負う事に対して、不安を抱くのは誰しもにある事だが、セリスには実力が不足しているという引け目があるのだろう。
だから不安を抱きながらも、弱音は吐けないでいる。
ケフカはそう感じたが、セリスはその心中を察する事もなく椅子から立ち上がって、続けた。
「時間を取ってくれてありがとう。ケフカみたいになれるまでは時間が掛かると思うけど、やってみるわ。」
「ああ。」
セリスは気丈な様子を演じて微笑み、出口の方にくるりと体を向けた。
セリスが激務であろうケフカを気遣って気丈に振る舞っていた事までは、ケフカは気が付かなかった。
「本当に、大丈夫なのか?」
セリスがドアへと歩を進めている途中に、ケフカはその背中に問い掛ける。
「うん。」
セリスは顔だけをこちらに向けてそう言った。
「…本当に、大丈夫なのか?」
先程よりもゆっくりとした口調でケフカは再び問い掛ける。
「…うん。」
セリスは背中を向けたまま小さな声で言った。
「本当に?」
ケフカは再び聞いた。
「…。」
三度目の問いにはセリスは答えなかった。
その背中はやや丸まり、肩はか細く見えた。
さっきまでの気丈な言葉とは裏腹に、その後ろ姿は頼りなげで、弱々しい。
(強情な。)
健気な様子にケフカの感情は突き動かされた。
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