刺すようだった日差しが薄雲に隠れて少し和らぐ。
街の雑踏が途切れ、周囲には一瞬の静寂がもたらされた。
久しぶりの再会に、セリスはまだ緊張していた。
歩きながらケフカの横顔を見つめてしまう。
街にケフカを探しに出て、当たり前だが始めはどこにいるのか見当も付かなかった。
しかし、歩いている内にいつの間にか気配を感じるようになった。
それは不可思議な感覚だったが、これまでもケフカに対しては幾度かそういうことがあったからセリスはそれに導かれるままに進んだ。
そしてたどり着いた先にケフカがいた。
ようやく見つけたケフカは何をするでもなく、ぼんやりと立ち尽くしていた。
(どうしたんだろう。)
その姿にセリスは不思議に思った。
ようやく探し人を見つけ出せたのにセリスは声を掛ける事に躊躇した。
(また拒絶されたらどうしよう。)
セリスは恐れたが、意を決した。
「ケフカ?」
出した声が幾分震え、表情もぎこちなかったかもしれない。
声を掛けるとケフカはゆっくりとこちらに振り向いた。
青緑色の瞳と目が合った。
「久しぶり。」
セリスは言った。
「ああ。」とケフカは短く答える。
「……。」
数か月ぶりにケフカの声を聞いて、セリスは発するべき言葉を忘れた。
「……用は。」
ケフカがそう尋ねたので、セリスは言うべきことを思い出す。
あまり広くは無い道を2人で並んで歩いた。
数か月ぶりの再会にセリスの気持ちは浮き立っていた。
しかし、いつも見ていたはずのケフカの横顔に違和感を覚える。
(凄く痩せたみたい。)
痩せたというよりは、やつれたといった方が当てはまるような、病的な何かをセリスは感じる。
シド博士はケフカは忙しく食事をする暇もないと言っていた。
皇帝陛下直属の魔導士の業務は、それ程までに過酷なのだろうか。
セリスは心配になった。
帝国を離れていた数か月の間に、様々な事が変わったようだと
セリスは思った。