出口への歩みを止めたセリスに、ケフカは立ち上がって一歩、また一歩と近付いた。
ケフカはセリスの後ろに立ち、その肩にそっと手を回した。
少し傾きつつある日が窓から射し込んで、1つの影を作る。
ケフカがセリスを抱き締める格好になる。
不意の事に、セリスは一瞬息を飲んだ。
心臓が早鐘の様に打ち、息苦しくさえ感じる。
「辛ければ俺を頼れば良い。」
セリスが戸惑っているとケフカはセリスの肩に顔を埋めて、耳元に囁いた。
そして少し強く抱き締める。
かすかに温かい吐息と囁く声がセリスの耳に優しく届いた。
セリスは今自分がどうすれば良いのか分からなかったが、ケフカの身体の温もりとその香りに安らぎを覚えた。
本当にわずかな時間、二人の影は重なっていた。
トントン。
静寂を破るけたたましいノックの音に、セリスとケフカは離れた。
「じゃ、また。」
ケフカが言うと
「うん。」
セリスは一言だけ答えた。
セリスはケフカの顔を見る事が出来なかった。
セリスは逃げるように部屋を後にする。
望まれぬ訪問者がドアの前にいて、セリスはぶつかりそうになる。
セリスは小さく「失礼。」と言うのが精一杯だった。
訪問者は面を食らったような顔をしていたがセリスは気が付かなかった。
セリスは下を向いたまま、ズンズンと廊下を歩く。
顔が熱い。
膝が少し笑うような感じがする。
今までに経験したことのないような感情に、セリスは戸惑っていた。
セリスは耳まで赤くしながら、任務へと戻った。
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