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ケフカについて書きます。二次創作あり(文章) 小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
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皇帝の間。シドと皇帝が対峙している。
皇帝がシドを呼び出したのだ。

「シドよ、セリス・シェールが可愛いのは分かるが、そなたの希望で、
頑なに軍人としての未来を閉ざすのもいかがなものか。」
頬杖を付いて皇帝は言った。

近頃、セリスが軍の中で頭角を現しているということが、皇帝の耳に入っている。
しかし、それと同時に少々好ましくない噂も伝わっていた。
セリス・シェールは魔法戦士が受講すべき演習に参加しておらず、
それはどうやら保護者であるシドが圧力をかけているからである、という噂だった。
それは単なる噂に過ぎなかったが、皇帝には心当たりがあった。

「陛下。そのようなことをどこで…。」
皇帝の言葉にシドは驚いていた。
セリスは魔導注入をされたルーンナイトであるが、まだ一般兵であった。
皇帝と一般兵では、身分に天と地程の違いがある。
シドはそのような、皇帝にしてみれば低い身分である者の事が、把握されていることに驚いていた。

皇帝は続けた。
「セリスは魔法戦士としての能力が高いと聞いている。
そもそも、軍人としての昇進は本人が望んでいるのだろう。何故、拒むのだ。」
「しかし、あれはまだ子供で。」
そうシドは答えた。
セリスの年齢は10を少し過ぎたばかりである。
軍人としての経歴は、他と比べて全く少ない。
それは「保護者」としての当然の言い分だった。

シドの言葉に対し、皇帝はふっと笑った。
「わしの目をごまかせるとでも思っているのか?シドよ。」
皇帝は言った。
皇帝はシドのセリスに対する溺愛ぶりを知っていた。
シドの取り繕いは見抜かれ、それは指摘された。

「おぬしの研究が結実しようとしているのだ、喜ばぬか。」
皇帝は言った。
「…。はい。」
シドは、消え入りそうな声で答えた。
セリスが軍人として異例の成長を遂げているのは、魔導の力が宿ったからこそ。
認めたくは無いが、研究の「成果」だった。

「困ったものだ。心配ならお前が子守をしてやるしかあるまい。」
皇帝は皮肉った。
軍に所属している以上、少なくともその人物は自立していなければならない。
「そのような…。確かに、心配が過ぎたかもしれません。」
シドは言った。

シドは皇帝に、セリスを他と同等の扱いをする様、軍の者に伝えると、約束した。

シドは後悔していた。
今になって、これほど過去の行為を悔やむことになろうとは思わなかった。
(私は科学者として、すべき事をしてきたが、それは人として非情なものだった。
年月を掛けてそれに気付き、今、嫌というほど味わっている。)
しかし、もうどうしようもなかった。
シドに今出来ることは、セリスの身を案じること。
それしかなかった。

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