敵を一人でも多く倒せば、私たちは勝利に近づく。
そう思えば、降りかかる危険も大して気にはならない。
セリスは早く、隊を統率出来る地位になりたいと思っていた。
セリスは、若輩である自分が階級を上げるためには、武功を上げる必要があると思っている。
しかし、同時にまだ力が不足しているとも感じていた。
年が若く、体もまだ小さいセリスが武功を上げるには、
剣技等に加え、他の者よりも幾分秀でている魔法のスキルを磨く必要があった。
帝国軍には魔法を上手く操れる人間はまだ少ない。
セリス自身は、魔法の使い方がまだ上手くないと思っているが、
実際は、セリスの魔法スキルはケフカに次ぐのではないかと言われている。
その能力を伸ばせば、類を見ない戦士になれるであろう。
しかし、それにセリスはまだ気付いていなかった。
セリスは遠征での一件があってから、親代わりであるシドに、ケフカから魔法を教わりたいと申し出ていた。
以前、セリスはケフカも教える演習に参加したことがあったが、
その時はケフカはセリス以外の者には個人で教えても、セリスの申し出は断っていた。
それでもセリスは、ケフカが他の人に教える様子を人の背後からこっそり見聞きし学んでいた。
しかし、それにも限界を感じていた。
日に日に直接師事したいという思いが強まっていった。
「他にまだすべき事がある。」それがケフカの言う教えてくれない「理由」だった。
シドに申し入れても良い返事は得られていない。
シドからは、
(ケフカは忙しいから、お前の相手をしている暇は無い。だから迷惑をかけてはいけない)と、
常々言われている。
セリスは、シドがケフカに話をしてくれていないと思っていた。
ケフカや頼みの綱であるシドに申し入れても、一蹴されるばかりで、
自分には教わる資格も無いのだろうかと落ち込む日が続いた。