ケフカについて書きます。二次創作あり(文章)
小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
私は明後日に迫った出発に備えて、準備を進めていた。
季節は秋も半ばを過ぎていて、ここのところ天気も悪かったが、今日は珍しく晴れていた。
部屋に差し込む日差しが暖かい。
異動の先は辺境の地で、年若い者がいく所ではなかった。
所謂左遷であることを知った。
同期の人間を初め近しかったはずの人物は、異動の公示を機に余所余所しくなり、無視する人までいた。
しかし、後悔はしていなかった。
魔導は甘んじて享受すべき力ではないことが分かり、軍の考えも分かったのだ。
それだけでも良かった。私はそう思おうとした。
ただ、私を失意の中に落とすのは、1つ。
ケフカに私の声が届かないこと、それだけだった。
私は間違っているのだろうか。その思いが頭を離れない。
不意にドアがノックされ、どうぞ、と声をかける。
入ってきた人物は、ケフカだった。
私は驚いて思わず立ち上がった。
「ど、どうしたんだ?」思わぬ来客に私は慌てた。
「この間は、酷い事を言ってすまなかった。」ケフカはそう言って目を伏せた。
「いや、気にするな。」
私の態度は軍人として取るべき態度では無かったかもしれない。
変わることが出来なかった私の方こそ、間違っているのかもしれない。
その思いが言葉を詰まらせた。
「聞いたよ。異動するんだって?」そのことで来たんだ、ケフカは言った。
「ああ、そうなんだ。俺は中央にいない方が良いらしい。」私はどうしても自嘲気味になってしまった。
「魔導の利用の反対をしたらしいな。皇帝も魔法を使えるんだぞ。冒涜してるも同然だ。」
ケフカは私を嗜める。
「…ああ。」
「馬鹿じゃないのか?」
「馬鹿でも良いさ。俺は今でもそう思ってる。」
「やっぱり変な奴だな。お前は。」
「悪かったよ。変人で。」
「お前はそういう奴さ。」半ば呆れたようにケフカは笑った。
あまりにもいつもどおりの会話をしていることに、私は内心戸惑っていた。
「いつ、発つんだ?」交わされるやり取り。
「明後日だ。今日明日、飯でも食いに行かないか?時間あるか?」
私は食事に誘った。
「今夜なら大丈夫だ。」ケフカは答えた。
異動になれば今度いつ会えるか分からない。
別れを惜しみたいだけではないような気がする。
繋ぎ止めたかったのかもしれない。霧のように掴めない何か。
「分かった。じゃあまた後で。」いつもと変わらず別れた。
閉じたドアから視線を逸らせぬまま、私はため息をついた。
軍人として私のしたことは誤っているのかもしれない。
だが、ケフカの行為は憎むべきもの、嫌悪すべきものであるはず。
それなのに私は友人を憎めない。
季節は秋も半ばを過ぎていて、ここのところ天気も悪かったが、今日は珍しく晴れていた。
部屋に差し込む日差しが暖かい。
異動の先は辺境の地で、年若い者がいく所ではなかった。
所謂左遷であることを知った。
同期の人間を初め近しかったはずの人物は、異動の公示を機に余所余所しくなり、無視する人までいた。
しかし、後悔はしていなかった。
魔導は甘んじて享受すべき力ではないことが分かり、軍の考えも分かったのだ。
それだけでも良かった。私はそう思おうとした。
ただ、私を失意の中に落とすのは、1つ。
ケフカに私の声が届かないこと、それだけだった。
私は間違っているのだろうか。その思いが頭を離れない。
不意にドアがノックされ、どうぞ、と声をかける。
入ってきた人物は、ケフカだった。
私は驚いて思わず立ち上がった。
「ど、どうしたんだ?」思わぬ来客に私は慌てた。
「この間は、酷い事を言ってすまなかった。」ケフカはそう言って目を伏せた。
「いや、気にするな。」
私の態度は軍人として取るべき態度では無かったかもしれない。
変わることが出来なかった私の方こそ、間違っているのかもしれない。
その思いが言葉を詰まらせた。
「聞いたよ。異動するんだって?」そのことで来たんだ、ケフカは言った。
「ああ、そうなんだ。俺は中央にいない方が良いらしい。」私はどうしても自嘲気味になってしまった。
「魔導の利用の反対をしたらしいな。皇帝も魔法を使えるんだぞ。冒涜してるも同然だ。」
ケフカは私を嗜める。
「…ああ。」
「馬鹿じゃないのか?」
「馬鹿でも良いさ。俺は今でもそう思ってる。」
「やっぱり変な奴だな。お前は。」
「悪かったよ。変人で。」
「お前はそういう奴さ。」半ば呆れたようにケフカは笑った。
あまりにもいつもどおりの会話をしていることに、私は内心戸惑っていた。
「いつ、発つんだ?」交わされるやり取り。
「明後日だ。今日明日、飯でも食いに行かないか?時間あるか?」
私は食事に誘った。
「今夜なら大丈夫だ。」ケフカは答えた。
異動になれば今度いつ会えるか分からない。
別れを惜しみたいだけではないような気がする。
繋ぎ止めたかったのかもしれない。霧のように掴めない何か。
「分かった。じゃあまた後で。」いつもと変わらず別れた。
閉じたドアから視線を逸らせぬまま、私はため息をついた。
軍人として私のしたことは誤っているのかもしれない。
だが、ケフカの行為は憎むべきもの、嫌悪すべきものであるはず。
それなのに私は友人を憎めない。
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