忍者ブログ
ケフカについて書きます。二次創作あり(文章) 小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
[41] [37] [39] [34] [35] [36] [32] [33] [30] [31] [1]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 「暑い。」
扉から出た途端、ケフカは暑さと強い日差しに嫌な顔をして、呟いた。
研究所には芝の敷地に樹木が少し生えた広場があった。
「その上着、脱いだら?」暑苦しい服着てるから暑いのよ、と思ったが言わなかった。
ケフカは億劫そうに、袖の長い重たい服を脱いで、芝の上に置く。
「涼しい。」意外そうな顔をして言った。
「でしょ。」
日差しは強く気温も高かったが、風があって不快ではない。
私は外の空気が気持ち良くて、背伸びをする。
ふと振り返ると、ケフカは地面に寝転がっていた。
「子供の時に、こんなことをしたような気がする。」
ケフカは空を見上げて言った。
「そうね。」
私も横に腰を掛けて、寝そべる。
芝と土の匂いがした。
青く澄んだ空と、流れる雲。明るい日差し。
「良い天気ね。」
「うん。」
ケフカは気持ち良さそうに、大きく深呼吸をし、それから目を閉じた。

そうだった。あの時はそうして2人でしばらく時間を過ごしたのだ。

私は現実に戻った。
目の前には何もない広い野原。
そういえばあの時の仕事はどうなったんだっけ。
そんなことも思いながら、再び天を仰ぐ。
あの時と同じ、空はとても青く澄んでいて、雲が流れていた。

私は、何年も空を見上げていなかったことに気が付いた。

私が忘れなければ良いんだ、そう思った。
私はこの人と長い時を過ごしてきた。この人は私の一部。
あの時間を否定することは出来ない。
思い出せばいつでも会えるのに、そうしなかったから寂しかった。
独りで投げ出されたと思っていたのは間違いだった。

私は顔を上げて、その場を後にした。

白い花びらが風で揺れた。

 
PR
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新トラックバック
プロフィール
HN:
すまり
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
アクセス解析
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright (c) すまりのにっし All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]