ドアから覗いたのは将軍○○だった。
その場の雰囲気にそぐわぬ様子で彼は話かける。
「あれ?皆おそろいで。もうネタバレしちゃいました??」
「ネタバレ?」レオはそちらを振り向いて言った。
「やだな。エイプリルフールですよ。あー僕も参加したかったなぁ。レオさん、こういうのも良いですよね?」
「エイプリルフール?」事態を把握しきれず、レオは目を点にした。
「来年こそ、呼んで下さいよ?じゃあ。」
と言って、将軍○○は去った。
「エイプリルフール…そういうことか…。」
やっとの思いでレオは口にした。
「すまん。騙すつもりだった。」
ケフカは言った。
「私は毎年騙されているな。」
去年、一昨年の事を思い出し、レオは言った。
「ああ。」
ケフカは答え、レオは遠い目をしていた。
「私の菓子は一つも無いのか。食べたのは、セリス、君だな。」
レオはふらりとテーブルに寄り、手をさ迷わせる。
「すみません。おいしかったです。」
セリスは言った。
「毎年毎年…。」
レオは両手をついて、がっくりとうな垂れた。
「悪かった。」
「こっちにも良いのがあるから。」
ケフカは謝罪し、隠していた菓子箱を差し出した。
「呆れて食欲は無いが、貰っておこう。」
レオが片手でごっそりと鷲づかみにしたのを、ケフカは見逃さなかった。
「しかし、わざわざ陛下に会わせるなんて。」
お怒りになっても知らんぞ。
レオは言った。
「大丈夫さ。陛下は今日、機嫌が良い。その程度で気分を害されることはない。」
ケフカは言った。
「来年は騙されないからな。」
レオは菓子の袋を開けながら言った。
「無理だ。お前は何を言っても信じるし、嘘もつけない。」
「ほっとけ。」ケフカが言うとレオはそっぽを向いた。
「褒めてるんだが。」
「いらん。」
「その菓子は口がパサパサになるぞ。茶でも…」
「ふぃらん」レオは口から菓子をぼろぼろこぼした。
「ほら、茶。」
「・・・。ありがとう。」レオは呟く。
「いいえ。」ケフカは言った。
セリスはそんなやりとりを見ていた。
そんなある日の昼下がり。