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ケフカについて書きます。二次創作あり(文章) 小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
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目的の場所に着くと、あの瓦礫の山はきれいに片付けられていた。
そこには植物が青々と茂っていた。
塔など初めから無かったかのようだった。
皆、辛い過去よりも、希望に満ちた未来に思いをはせるのだ。
私は跪いて花束を置き、そして、黙祷を捧げた。
その時だった、強い風が吹き付けて、私は思わず顔を上げた。
夏の眩しい日差しが目に入り、過去を思い出す。
あの時と同じ空。

あの日、ケフカは何日も研究所に詰めていた。
私はその日も、空いた時間に部屋を訪れていた。
ケフカは仕事が思うようにはかどらず、ずっと難しい顔をしていた。
もう、何時間、何日同じ事をあの机で、考えているのだろう。
「一緒に休憩取りましょうよ。何飲みたい?」その様子に、私は見かねて申し出た。
「いらない。そこにあるのは、もう全部飽きた。」
私が今手にしているお茶も含め、棚にある全ての飲み物に飽きたらしい。
ケフカはこちらを見ずに、あーあ、と小さく背伸びをして、分厚い本に手を掛けた。
「難しそうな本ね。」私は近づいて、覗き込んだ。
「ああ。何で昔の人間はこんなに回りくどい書き方をするんだ。」
はぁ、とため息をついて、また文字を睨めた。
左手にある辞書を何度もめくりながら、数分が過ぎたが、ケフカは立ち上がった。
「駄目だ。進まない。セリス、お茶を入れてくれないか?」
「良いわ。」私は飲んでいたお茶を置いて、立ち上がる。
カップを手にしたケフカは、ありがとう、と言った。
飲みながらも、仕事が進まない苛立ちからか、ため息が止まらない。
窓の外の天気の良さとは反対に、部屋の中はどんよりとしていた。
「外の空気を吸いに行かない?」私は言った。
「暑いし、疲れるからいいよ。」ケフカは気が乗らないようだった。
「ずっと部屋の中だと、息が詰まるでしょう。気分転換も必要よ。」
ちょっとで良いから。
私は強引に連れ出した。
 

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