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ケフカについて書きます。二次創作あり(文章) 小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
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トントン。

軽やかなノックの音。ケフカは現実に戻された。
「セリスです。」聞きなれた声が言った。
ハッと顔を上げた。

トントン。もう一度ノックの音がする。
ドアの向こうにセリスがいる。

顔が見たい。と思った。

「ケフカ、いる?」
ドアの向こうのセリスは問いかけた。

セリスの明るい声。
しかし、その声が、ケフカの中の憂鬱を引き起こし、上げかけた首を元に戻させた。
泥のような、暗澹たる妄想の中に、先ほどまでケフカはいた。
今は突然現れた光に、足が竦んでいる。
ケフカは物音も立てず、再び寝そべった状態に戻った。

「やっぱりいないかな。」ドアの向こうでセリスは呟いた。

そうして少しの時間、セリスはドアの前に留まっていたが、やがて諦めたように立ち去った。
こつ、こつ、という靴の音が小さくなり、聞こえなくなる。

暗い空虚な部屋にはサーサーと雨の音だけが聞こえる。

ケフカはゆっくりと身体を起こして、明かりの漏れているドアの方を向いた。
一歩一歩、足を引きずるようにして、ケフカはドアの前まで歩くく。
最早ドアの向こうに気配は無いが、今出ればまだ近くにはいるだろう。

そう思ったが、扉に手が伸びることは無かった。

目の前の白いドアが、まるで壁のように自分を拒んでいる。

雨の音が、軽やかなノックの音も、明るい声も、その足音もかき消していく。
十数分ドアの前に立っていただろうか。

「分かっていたことじゃないか。」

呟くような声が聞こえた。

「こうなることくらい。」

その声の主が自分だと気付いた。
 

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