「…やはり私が信用出来ないか。」
シドは先ほどまでの口調とは変わって、落ち着いた風に言った。
「…いえ。そんなことは。」
ケフカは言った。
しかしその表情は平坦で変化がない。
シドはこの男は何を考えているのか分からないと思う。
「ケフカよ。私は軍のことは知らない。しかし、事情があるのならば言ってくれ。今ならこの件は私しか知らない。黙っておくことも出来るのだぞ。」
シドは言った。
「軍は関係ありません。全て、私個人がしたことです。」
シドの申し出にも、ケフカは主張を変えようとはしなかった。
シドはため息をついた。
「ケフカよ。君の証言が虚言であることは明らかだ。この件が公になれば君は信用を失うことになるだろう。ここで本当のことを話さないのは何の得にもならない。弁解も何もしないのであれば、私は所長としてこの件を私の胸の内だけに止めておくことは出来ないのだ。」
シドは言った。
「かまいません。これ以上私からは申し上げることはない。」
ケフカは言った。
「本当に何も言うことはないのか。」
シドは沈んだ口調で言ったが
「ええ。」
ケフカは短く答えただけだった。
「君とは古い付き合いだと思っていたが。」
「…。」
「この件は報告をあげねばならない。追って何らかの沙汰が下るだろう。」
シドは言った。
「分かりました。」
そうケフカは言い、立ち上がる。
立ち上がったケフカをシドはソファから見上げる。
「残念だ。」シドは思わず口にする。
その言葉にケフカは一瞬立ち止まったが、そのまま研究室から出て行った。
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