ケフカについて書きます。二次創作あり(文章)
小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
また夢を見ていた。
「ねてる?」
子供の声はセリスだ。
「ああそうだ。言っただろう。」
大人の声はシド博士だろう。
「さあ、帰るんだ。」
「あそんでくれるって。やくそくを。」
セリスの言葉で、そう言えば先日絵本を読んでやった時に約束をしていたと思い出す。
「絵本か。無理だな。」
「…。」
博士の言う通り、この様では約束は守れそうにない。
「代わりに私が読む。」
博士はそう言ってセリスを連れて立ち去った。
夢から覚めると、暗闇の中にいた。
僅かに窓から月明かりが差し込み、徐々に目が慣れる。
機械のシルエットが見え、生温い薬品の匂いが鼻に付いた。
ここが研究所の実験室だと分かる。
どうしてここに。どうやってここまで来たのか。
覚えていない。
じりじりと月光でうっすらと見える壁側に歩を進める。
壁の付近にたどり着いて、注入された左腕が疼く。
右の手でその箇所に触れると、まだ火のように熱を持っていた。
ウィリアムとフィリップはどうしているだろう。
部屋に戻らねばと思い、壁を伝いながら出口を目指す。
壁際に据えられている鏡に触れた。
鏡の中の自分と目が合う。
誰だ。と思った。
見慣れた顔では無い。
嫌な予感がした。
鏡の中の人物はもっと年が上。
そして気付いた。
不意に支えを失ったような気がして力が抜ける。
両膝に衝撃を感じて、地面に跪いたと分かり、鏡を見上げる格好になる。
「これは、私か?」
私は呟いていた。
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