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ケフカについて書きます。二次創作あり(文章) 小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
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ケフカは小隊長が退いた帝国軍の最前線にて、出撃の準備を始めた。

傷つき倒れている帝国兵たちに紛れて、跪いて泣いている女がいた。
傍らには一軒の全壊し無残な姿となった、家。
おそらく女の物だろう。
身内の者も死んだのかもしれない。
ケフカを初め帝国の者は女に視線を送るが、
女は彼らに気付くことなく、嗚咽を漏らし続けていた。

ケフカらが女の傍らを通り過ぎようとした時に、不意に娘…ティナが立ち止まった。
何事かとケフカは思い、つられて歩みを止める。
ティナが口を開いた。
「あの人は、大切なものが壊されて悲しいので、泣いているのですね。」
ティナは憐みの表情を浮かべていた。

ケフカは思わずティナを凝視した。
それまで許可なく口を利いたことが無かったからだ。
「かわいそうです。」
ティナは同情を口にした。
「……余計なことを気にするな。」
ケフカは娘の言動を諌めた。

ケフカは冷静にティナの言動を諌めたが、内心驚いていた。
幻獣と人間のハーフである娘。
それが自分とは無関係の人間に対して「同情」を顕にしたこと。
自らは実験体や兵器のような物として扱われてきたにも関わらず、
人間らしい感情を持っていたことに。

ケフカの隊はおおよその予定の地域に到着した。
ものの数分で思ったとおり、数人の敵兵が現れる。
無論、通常子供一人で相手出来る数ではない。
「あそこは、お前に任せる。時間が掛かっても良い。倒してみよ。」
ケフカは命じた。
娘を見守りつつ、危険が及べば助けるつもりでいた。

ケフカの命令を受け、ティナがおずおずと進み出る。
そして魔法の詠唱を始め、その小さな口が「ファイア」と唱えた。
その瞬間、一人の敵兵の体が爆炎に包まれた。
「ぎゃー」
と叫び声が響き渡る。
その力に幻獣と人の差を見た気がした。
あっという間に、一人が倒れ、一人、また一人とティナは着実に倒していく。
わずか数分で、敵は恐れをなして退いた。

隊に合流するために戻ってきたティナには、大した怪我もなかった。
しかし、その表情は憂鬱その物だった。
「どうした。」ケフカは声をかけた。
ティナは首を少し振った。
人の焼ける臭いがする。
その焼け焦げた死骸は、たった今ティナが作ったものである。
無理も無い。子供なのだ。ケフカは思った。

「戻るぞ。」
ケフカはそれだけ言った。

ティナは帝国で実験体であり兵器のような物として扱われ、教育されてきたが、
周囲の人間を見ているうちに、「感情」を知ったのだろう。

今の戦いにおいても、おそらく、本来の力の半分も出てはいない。
人を殺めることが「嫌」だったのだ。
しかし、それでもその力は一般の兵など問題にならなかった。

親と引き離されなければ、幸せに暮らせたのかもしれない。
それを奪ったのは、ケフカ自らを含む他ならぬ帝国だった。
我々は、あまりにも酷な事をしているのではないか。
そう思わずにはいられなかった。
 

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