数か月に及ぶ駐留を終え、セリスはベクタに戻った。
セリスは他の将軍らと共に、ガストラ皇帝の元へと帰還の報告に向かう。
型通りの報告を終えた後、皇帝の側近が言った。
「シェール将軍は残れ。」
セリスは(何を言われるのだろうか。)と思う。
が、思い当たる節は無い。
セリスを待ち受けていたのは思ってもいない命令だった。
「セリス・シェール、お前だけを残したのは他でもない。お前の隊に魔導戦士を増員する。」
ガストラ皇帝はそう切り出し、話始めた。
「!?」
概要を聞き、話が進むにつれてセリスの驚きは増えていった
兵の増員自体がセリスにとって寝耳に水の話であるが、まず増員されるという魔導戦士の数が予想より多いと感じた。
それは将軍であるセリスが把握している候補の新兵の数を軽く超えていた。
(それ程の人数がどこから捻出されるのだろうか。)
セリスは疑問に思った。
少なくとも軍の再編成が行われ、隊の1つや2つが減らなければ、捻出出来ない数ではないか。
セリスが考えていると皇帝が口を開いた。
「心配はいらぬ。お前も良く知っている、ケフカ・パラッツォの隊の者だ。」
「えっ。」
セリスは驚いた。
「ケフカ・パラッツォは皇帝直属の魔導士に就任することになった。ケフカの隊は解散する。
その兵がお前の隊に加わる。」
「…。」
「ふふ。ケフカからお前が適任であると申し出があった。お前はその後釜というわけだ。」
「…。」
「異論はあるまい。」
「は。」
「良く務めよ。では下がって良い。」
「はっ。」
(ケフカが陛下直属の魔導士に・・・?)
セリスはまだ驚いている。
そしてその隊を自分が治める事にも。
皇帝の命を受け、セリスは身の引き締まる思いがしたのと同時に、ケフカが取っていた態度にある種合点がいく。
(近づくなと言っていたのは、立場が変わるから。)
セリスはそう思った。
胸がちくりと痛んだが、受けた命令の大きさに気後れもしている。
ケフカの隊は非常に大きな部隊であり、帝国の魔導戦士部隊の要である。
(動かなければ。)
セリスは不安を押し殺した。
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