ケフカについて書きます。二次創作あり(文章)
小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
微笑んだケフカと目が合い、その今まで見た事の無い表情にシドは後ずさりするのを堪えた。
背筋がぞくりとざわつき、シドは思わず目を逸らした。
ケフカと皇帝のやり取りは、傍目に見れば、忠臣が病を押して君主に尽くしたいと願い出た美談の様にも思えるだろう。
しかし、シドにはこの男にそこまでの忠義心があるとは思えなかった。
そのちぐはぐな状況にシドの悪寒は止むことを知らないでいる。
「シド博士よ。」
「…は。」
シドは不意にガストラ皇帝に名を呼ばれ、慌てて応じた。
「儂からも頼もうではないか。」
皇帝は言った。
玉座からの言葉に、シドは有無を言わせぬものを感じる。
「…は。」
先程皇帝の怒号を受けていたシドは、その逆鱗に触れる事が恐ろしく仕方なく了承した。
皇帝はシドの答えに少しだけ頷いて、今度はケフカに顔を向けて言った。
「では、詳しい事はまた後日話そう。今日は休むが良い。」
ケフカに対する皇帝の物言いは柔らかいとシドは思った。
「…は。失礼致します。」
ケフカはそう言って頭を下げ、皇帝の間を去った。
「ふふ。」
部屋が2人になり、ガストラ皇帝は不意に笑った。
シドは幾分怪訝な表情をして、皇帝を見た。
「シドよ。儂に何か申したい事があったのではないか?」
皇帝は含みを持った言い方をする。
「……。」
シドは沈黙した。
シド自身は、ケフカが皇帝に言っていた事は本心ではないと思っている。
今ガストラ皇帝が何を言わんとしているのか、シドには量りかねているが、
少なくともケフカがその” 忠誠”の為に魔導研究者である自分に協力を求める事等、考えられないことだと感じていた。
しかし、シドには今この場でその事を申し伝えるのは憚られ、皇帝の次の言葉を待った。
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