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ケフカについて書きます。二次創作あり(文章) 小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
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 眠りについたはずなのに、いつの間にか私は、自らが作ったあの塔にいた。
遠くに、かつては国だった集落が、まばらに見える。
ここは世界で一番高い塔。
鳥も届かない。天が近い。けれど何も無い。
あれほど憎かった下界が、いくら壊しても、つまらない。
あれほど飛んでみたかった空を、いくら自由に飛んで回っても、退屈。
なんだ、神とは満ち足りた存在じゃなかったのか。
まだだ。まだ何か足りなかった。
私はある集落に狙いを定めて、魔法を放った。

目覚めると木製の天井。
見ていたのは、夢という名の過去の記憶だった。
魔法の感触が今なお、手に残っている。
私は何をしたのか。
私は右手を額に乗せて目を閉じる。
あの時、神は存在せず、その審判もないのだと気づいたのだ。
他者が許したとしても罪は罪。
今度こそ、私が自らを律しなければならないと思う。

部屋は静かでセリスは今、いない。
私はそのことにほっとした。
履物に足を入れふらつく足で、施設を目指す。
少しの道のり、裏口は無防備で、鍵もかかっていない。
広いその建物内は静かだった。
人気は無く、私の足音だけが反響する。
手すりに手を掛け、階段を一つずつ上った。
行き止まりに屋上へのドア。
それを開けると、肌寒い風が吹き込んでくる。
空が澄んでいた。

私は今、満ち足りている事に、戸惑った。

犠牲にした者たちに対し申し訳無かったと、ただただ侘び、
最後の時間をくれたセリスに感謝をする。

鳥の鳴き声、木々のざわめき、人の息づかい。

これが私が飛びたかった空かもしれないと思った。
 

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