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ケフカについて書きます。二次創作あり(文章) 小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
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ケフカは手がけていた仕事がひと段落し、少しだけ伸びをした。
午前3時。
ケフカは現在、軍の編成や作戦を立てる立場にある。
先ほどまで作成していた物は、来年に行われる予定の遠征の為の資料だった。
ケフカは自らが作った資料を指でなぞる。
(これも無駄になるかもしれない。)
ケフカはそう思いながら、立ち上がった。

窓際に座り、外を眺める。
満月が少し見えては、再び厚い雲に隠れる。
星までは見えなかった。

ケフカは不眠症の状態が続いていて、今夜も時間潰しを兼ねて仕事をしていた。
これまでも再三訪れる悪夢により眠りの浅いことが多かった。
不眠の兆候はあったと言えるが、研究所での一件が引き金になった。
体は疲れていても、精神が眠りを欲しようとしない。

…キィーン
右耳で少し耳鳴りがして、ケフカは幾分顔をしかめた。
幻聴の前触れ。
深呼吸をして、気分を落ち着かせる。
そうしている内に、耳鳴りは止んだ。

幻聴の症状も悪化の一途を辿っていた。
ここ数日は幻聴は昼夜を問わずに起こり、頻度も徐々に高くなっている。
恐ろしいのは、その幻聴が現実に聞こえる声に徐々に似てきている点だった。
今は自分にしか聞こえない幻聴であると認識できる。
しかし、いつか現実の音と幻聴との区別が付かなくなったら?
そう思うとケフカは怖かった。
再び研究所に侵入した時の様に、おかしな行動をしたら?

ケフカに突きつけられているのは、自分で異常な行為を制御出来ないという事実だった。
客観的に見て、自分には軍人としての資格はもはや無いと言わざるを得ない。

自分と同じ時期に魔導注入を受け、重い後遺症を患った彼らの事を思い出す。
そして、先に逝ったウィリアムとフィリップ。
彼らが見舞われた症状が、脳裏をよぎった。
病室に隔離され、会話もままならなかった。
彼らはあそこから生きて出る事が出来なかったのだ。

少し頭痛がした。
窓を開けて、空気を入れ替えようと思う。
冷たい空気がゆっくりと入り込む。
(ましてや、軍の指揮を執る人物として相応しいはずがない。)
ケフカはそう思った。

シド博士が、研究室に侵入した件を皇帝に報告をすれば、何らかの沙汰が下るだろう。
(そうしたら…。)
(どうする?)
そう自分に問いかけると、ゆっくりと自分の何かが崩れていくような感覚がした。

ギリ…。
無意識にケフカは唇を噛んだ。
(皇帝…、シド…。)
一瞬、昏い感情が鎌首をもたげるのを感じた。

その時、びゅうと、冷たい風が吹き込み、カーテンが煩くはためいた。

ケフカは、囚われた感情から無理やり意識を外した。

全ては終わったことだ。
研究室侵入の件で、沙汰が下ったら、
(そうしたら…。ここを去ろう。)

残された時間は少ない。
ケフカは思った。

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