魔導の力を手に入れてから、私はケフカの元に報告に行った。
誇らしい気持ちだった。
久しぶりに会ったケフカは驚いた顔をしていた。
報告すると不機嫌そうな顔になり
「取り返しのつかないことをしたな。」と言った。
てっきり褒めてくれると思っていたので、私は面を食らった。
ケフカは続けた。
「もう普通の人間には戻れないし、自分の身にこれから何が起こるのかも分からない。
魔導が原因の病になる可能性もある。分かっているのか。」
私は押し黙った。
その事を知らない訳ではない。寧
ろあらかじめシド博士から説明は受けていて、その危険は十分に分かっていた。
ただ、ケフカの雰囲気に気圧されたのだ。
私が無言でいると、ケフカは
「怖くないのか。」と言った。
ケフカの言葉を聞いて、私は考えた。
ちっとも怖くなんかなかった。
それは何故だろう?
そして答えた。
「一緒だから。怖くない。」
ケフカは一瞬だけ黙って、呆れたようにため息をついた。
「魔導の力を手に入れただけで、一人前になれたと思うな。」
ケフカの言葉は厳しかった。
ケフカはそれだけ言うと、部屋を出て行ってしまった。
私は一人残された。
ケフカの言葉は厳しいと思ったがその通りだと思う。
私は甘い。
後日、シド博士とケフカが口論をしていたという事を聞いた。
私にはどうして、ケフカがシド博士と言い争うことになったのか、分からなかった。
それから、しばらくして、私は研究所を出て、シド博士の元を離れ、
他の訓練生と同じ生活を送ることを決めた。
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