コンコン。また、ノックの音がした。
「セリスです。」
セリスは今回の遠征には参加しておらず、留守番をしていた。
会うのはひと月ぶりくらいだろう。
「開いている。」
ケフカは集中していたので、顔も上げずに言った。
失礼しまぁす。セリスは言い、部屋に入ってきた。
「どうした。」
「聞きたいことがあって。」ケフカが聞くと、セリスは言った。
「少し待ってくれないか?5分もすれば、めどが付く。」
「分かりました。」
そう言って、セリスはソファに座った。
(ケフカ、忙しそう。)
セリスはソファに座って、ケフカを見た。
黙々とペンを走らせ、かなりの早さで書類を書いている。
(集中してる。邪魔してはいけないわ。)そう思った。
そんなケフカの様子を見ているうちに、ふと、リボンが目に入った。
ケフカの付けているリボンがかなり長く、顔を動かす度に、ゆらゆらと揺れている。
(あんなに長いリボンなんて、使っていたかしら。)
セリスは気になった。
なんとなく気になって、改めてよく見てみると、白いフリルとピンク色が目に入る。
(うわぁ)
ケフカは気付いていないが、セリスはかなり複雑な表情をした。
(何であんなリボンを…)セリスは思った。
白いフリルでピンクのリボン。
一般的に考えて、30過ぎた男性が使う類のリボンでは無い。
ましてや、ケフカは軍人であり、それなりの地位にあるのだから、
フリルとピンクのリボンなど、あまり付けない方がいいと思うのだが。
(かくいう私も部屋にはあんなリボンがたくさんあるけど。でも…。)
セリスは考えてしまう。
(でも、ケフカはどうしてあんなリボンを買ったんだろう?)
すぐにでも問いただしたいところだが、真面目に仕事をしているので今は口に出せないし、
仕事していなくても聞いていいものか迷うところだ。
ただ、ケフカから発せられる違和感がスゴい。