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ケフカについて書きます。二次創作あり(文章) 小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
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 まったりと茶を飲む、ケフカとセリス。
ズンズンと足音が近づいてくる。
「おい、ケフカ。陛下は私を呼んでなどいないと仰っていたぞ!それにお怒りでもないと!」
ばぁん、と扉を開け、レオが踏み込んでくる。

2人が談笑するテーブルには空になった菓子の箱。
「はあ?何を言ってるんだ?」
ケフカはカップを持ったまま、顔だけ向けて言った。
「何をって…。さっき、陛下が私に対して大変お怒りになっている。
だから、すぐにでも謝りに行けと言ったではないか。だから私は…。」
レオは菓子箱をちらりと見て言った。
「そんなことを言った覚えはないな。」
ケフカは言った。
「そんなはずはない。頂き物の菓子を置いてまで向かったんだ。
それに、残しておいてくれと、あれ程言ったのに。」
「菓子は別に良いだろ。セリス、私はそんなことを言ったか?」
聞かれたセリスをレオは注視した。
「いいえ。」
セリスは無情にも首を振った。

セリスの仕草にレオは目を見開いた。
「なっ!君も「本当ですか!?それは行かれた方が良いかもしれないですね」と言ってたじゃないか。」
レオは高い声を出して、セリスの真似をする。
その気味悪さに、目を背けながらケフカは口を開いた。
「レオは確かに、私たちに言われたんだな?」
「ああ。」レオは答える。
「本当に?」
「本当だ。」
「本当の本当に?」
「ふざけるのも大概にしろ。」レオは怒りでふるふると震えている。
「ふざけているのではない。」ケフカは急に真面目な表情をした。
「もしかして、それはドッペルゲンガーかもしれない。」
ケフカは言った。
「ドッペルゲンガーだと?」
「そうだ。」
「まさか、我々の身にそれが降りかかるとは…。」
ケフカは青い顔をして言った。
セリスも神妙な表情をしている。
「レオ、信じてくれ。もうそれしか考えられない。」
「どうしたんだ。そんなに大変なことなのか。」
2人の様子にレオはジリジリと後ずさる。
「謎の人物ドッペルさん…。」
「えぇっ。」
ケフカが呟くと、セリスは口元に手を当てよろめいた。
「ドッペルさんは、我々人間の影の部分…。それが出てきたということは…。」
「出てきたということは…。」
「出てきたということは…?」
「……。」
コンコン。ノックがされた。
ドアに注目する面々。
がちゃり。ドアが開いた。

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ドアから覗いたのは将軍○○だった。
その場の雰囲気にそぐわぬ様子で彼は話かける。
「あれ?皆おそろいで。もうネタバレしちゃいました??」
「ネタバレ?」レオはそちらを振り向いて言った。
「やだな。エイプリルフールですよ。あー僕も参加したかったなぁ。レオさん、こういうのも良いですよね?」
「エイプリルフール?」事態を把握しきれず、レオは目を点にした。
「来年こそ、呼んで下さいよ?じゃあ。」
と言って、将軍○○は去った。

「エイプリルフール…そういうことか…。」
やっとの思いでレオは口にした。
「すまん。騙すつもりだった。」
ケフカは言った。
「私は毎年騙されているな。」
去年、一昨年の事を思い出し、レオは言った。
「ああ。」
ケフカは答え、レオは遠い目をしていた。
「私の菓子は一つも無いのか。食べたのは、セリス、君だな。」
レオはふらりとテーブルに寄り、手をさ迷わせる。
「すみません。おいしかったです。」
セリスは言った。

「毎年毎年…。」
レオは両手をついて、がっくりとうな垂れた。
「悪かった。」
「こっちにも良いのがあるから。」
ケフカは謝罪し、隠していた菓子箱を差し出した。
「呆れて食欲は無いが、貰っておこう。」
レオが片手でごっそりと鷲づかみにしたのを、ケフカは見逃さなかった。
「しかし、わざわざ陛下に会わせるなんて。」
お怒りになっても知らんぞ。
レオは言った。
「大丈夫さ。陛下は今日、機嫌が良い。その程度で気分を害されることはない。」
ケフカは言った。
「来年は騙されないからな。」
レオは菓子の袋を開けながら言った。
「無理だ。お前は何を言っても信じるし、嘘もつけない。」
「ほっとけ。」ケフカが言うとレオはそっぽを向いた。
「褒めてるんだが。」
「いらん。」
「その菓子は口がパサパサになるぞ。茶でも…」
「ふぃらん」レオは口から菓子をぼろぼろこぼした。
「ほら、茶。」
「・・・。ありがとう。」レオは呟く。
「いいえ。」ケフカは言った。
セリスはそんなやりとりを見ていた。

そんなある日の昼下がり。

  十数人の兵の前に立つのは、年若い青年。青年は帝国軍のある分隊の長だった。
軍の人間の大半は年上の人物で、歴戦の者たちである。
異例の昇進を遂げている青年の将来は、有望視されているといって良かった。
「研究員ふぜいが。」周囲の者の心中は穏やかでなかった。
経験の少ない若輩者、まして研究所上がりの人間など軍にはいらない。
それが本音だった。
彼が魔法という未知の力を使うことが出来る点も波を荒げた。
「魔法、か。珍しい力を持っているな。」
青年は振り向いた。今度の遠征で行動を共にする将軍だった。
「モンスターならそんな力も持っていてもおかしくはないが。我々は人間だ。ああすまん。
悪気はないんだ。陛下も戯れが過ぎる。そんな恐ろしい力を人間に宿そうなど、正気の沙汰ではない。」
将軍は顎を上げて、話した。
「君の里が知れるな。」意地の悪い男だ。
青年は無言でその男を睨み、立ち去った。
戦争は激化の一途を辿っていた。
急激に領土を拡大させようとしているガストラ帝国。反発するものの数は多い。
帝国は周辺の国を征圧せんとするため、躍起になっていた。
反政府勢力の居場所が分かり次第、持ち前の機動力で攻め込み、殲滅させる。
今日もある国をようやく攻め滅ぼし、既に陣地の解散をしている途中である。
青年も指示をしながら、手伝う。
そんな中、新たな伝令が舞い込んだ。重要な命らしく、すぐさま皆集められた。
前方に立つ将軍は威圧的な声色で文書を読み始め、空気が変わる。
「大陸内にある小国にて不穏な動きあり。小隊は待機し、命令を待て。」
その横に立つ青年も一言も聞き漏らすまいとしていた。
しかし、告げられた地名を聞いて、青年は戦慄し青ざめる。
その小国の街は、青年の故郷。
距離は近い。戦慄く青年をよそに、軍人たちはいきり立った。
態度を明確にしていない国を攻め落とす口実が出来た。
 

「お願いします。何かの間違いです。確かな事が分かるまで待っていただけませんか?」
青年は将軍に頭を下げた。
「本当ならば待つわけもないが、君の大切な人がいるならば待ってあげても良い。」
将軍は頷いた。
青年は急ぎ、帝国首都ベクタに向かった。
青年の故郷はきわめて平凡な国。争いごとは嫌いでのんびりとした土地だ。
反政府組織のアジトになっているなど考えられなかった。
その日の夜にはベクタに着くことが出来た。やはり情報は誤りだった。
早とちりと伝達のミス。くだらなすぎる。
「ふざけるな。」
不愉快な顔を顕にして、即座に陣地へ急いだ。
明るくなった頃、陣地に着いたが大勢の兵の姿無く、解体を任された少数の人間がいるばかりだった。
青年の姿を見た者はきょとんとして言った。
「あの後、作戦が変わって我々の隊を残して行ってしまいましたよ。お陰で片付けにあと2,3日掛かりそうです。
そういえば、一緒ではなかったのですか?」
どうしてだ。まだ進軍の命令は出ていないはずだ。
軍の後を追うより他無かった。
既に街は火の海。
「君か。パラッツォ。もう少し早く戻るんだったな。お陰で、ほら。わが軍は既に事を終えてしまったぞ。
ほう、そうか、誤りだったか。不運だったな。」
将軍は兜を脱ぎ脇に抱えて言った。
「何故、待っていただけなかったのですか。最終的な命令は出ていなかったはずです。」
青年は珍しく感情を顕にし、責めたてるように言った。
「君の知人がいることは分かったのだが、これも我々の仕事だと思い直してな。私情を挟むわけにはいかぬだろう。
もちろん、君がそのような甘い考えの持ち主とは思いたくもないが。」
将軍は、のらりくらりと答えた。
青年はギリギリと唇を噛んだ。
畜生以下の行いをしておいて、なお優位に立とうとするその汚さに吐き気がした。
「君はまだ若い。待っている間にも軍の士気は下がり、敵も力を蓄えるのだ。ましてや我々は君とは違って
血の気の多い者ばかりだ。敵がいると知れば、いても立ってもいられない。…お前にこの仕事が勤まるか。」
許せない。憎んでも憎みきれない。
畜生以下の将軍は汚らしい顔を上げ、空をうっとりと見つめた。
「あの村は綺麗な女が多かった。絹のような肌が忘れられない。」
瞬間、青年の眼前は真っ赤になって、気付けば手にサンダーという魔法を纏い殴りかかっていた。
しかし渾身の力を込めた攻撃は、軽々と除けられてしまい、手首を掴まれてしまう。
そのまま壁に押えつけられ、身動きが取れない。
「魔法?そんなもの、こうしてしまえば怖くも何とも無いわ。」
「離せ。」
「白衣じゃなければ動けんか?」
下劣な将軍はにやついた。

 

  魔導研究所。
「どうした、久しぶりに来たと思ったら。」
シドは椅子を回転させ振り向いた。
「博士。前に、言っていたあの幻獣。僕で試しませんか?」
「急に何を。」
急な申し出にシドは驚きを隠せない。青年は真剣そのものといった表情。
青年が言っているのは、既に魔導の抽出はされているが、強力すぎて未だ使用していない幻獣の力。
それを自分で試せと言う。
植えつけられる魔力は、幻獣が持つ元々の能力に比例している事が分かっていた。
それと同時に、注入後に生じる危険も比例して大きくなることも。
青年は手を広げ、少し何かをつぶやいた。そして手のひらには細かな氷塊が生じる。
「こんな力では、魔物はもちろん、人一人殺せない。役に立ちません。」
青年は生じた氷の粒を眺めて言った。
青年は気付けばベッドの上にいた。
ある日、研究室の一角で倒れているのが発見されたのだ。
床にはあの幻獣の抽出液の入っていた容器等が散乱し、中身は残っていなかった。
青年の体に入ってしまったのだろう。
そう考えるより他無かった。
その行為は青年が自ら行なったのかもしれないし、誰か協力者がいたのかもしれない。
結局目撃者もおらず、自分が協力したと名乗出る者もいなかったので、どういう経緯で注入がなされたかは分からないまま。
シドは苦々しい顔をした。
青年は目を開けた。
思考はぼんやりとしていて、ただ白い明かりが眩しかった。
記憶が無い。針が腕に刺さるのを見て、それからどうなったっけ。
針を持つ手は僕の物?それとも?
それから数ヶ月間、青年は公の場に姿を現すことはなかった。
 
「最近、活躍が目覚しいな。ケフカ。そしてシド博士。」
ガストラ皇帝は玉座に浅く腰をかけ、正面の年若い魔導師を見つめた。
ここは玉座の間。
魔導師ケフカと、魔導研究所の責任者シドは皇帝に呼ばれて参じていた。
「滅相もございません。陛下のご威光があればこそです。」
魔導師は慇懃に答える。
シドは勿体ないお言葉、と呟いた。
「魔法の力を見せよ。」
話も進み、皇帝はやや声を弾ませ言った。
「そのつもりで参りました。」
あれを。魔導師は後ろに控えていた兵に声をかけた。
シドは何の事か分からず背後を振り向いた。
「よろしいですよね?」
魔導師は微笑んだ。
兵士が連れてきたのは、顔を白い布で包まれ、手足を拘束された男。
魔導師はその白い布をゆっくりと取り払う。
魔導師の故郷を焼いた将軍だった。
シドは眼を見開いて魔導師を凝視した。
「多少、汚れますので、外へ。」
魔導師はエスコートするかのように、皇帝を促した。
廊下で歩を進めながらガストラは思っていた。
この者は変わった。
たった数ヶ月前この魔導師は、取るに足りない若者に過ぎなかった。
魔導の力を得たので少し注意して見てはいたが、たいしたカリスマ性があるわけでもなく、バカでは無いが、したたかでもない。
持った印象などそんな程度だ。
それがこの様だ。
気に食わない人間を処刑し、それを私に見せようとしている。なんと人は残酷になるのだろう。
(魔法の力とは恐ろしいものだ。)そう思うのと同時に、その力に魅力を感じた。
柱に拘束された将軍は必死の形相で哀願している。
魔導師は何も聞こえぬかのように、その首を掴んだ。
シドは立ち去る事も出来ず、顔を背け苦い表情をしていた。
「ヒッ、助けてください。」将軍は泣き出し鼻水まで流す。
それを満面の笑みで見つめながら、魔導師は手のひらに魔力を集め始めた。
「あ…あ…」じりじりと皮膚が、焼けていく。
ぎゃーと叫び声がして、将軍は一瞬にして炎に包まれた。
「いかがですか?」かつて将軍だった物が動かなくなってから、魔導師は言った。
「良かろう。強い力だ。」たいした時間も経たずに、炭となり果てるだろう。
この力はかつて人が持ち得なかった力だ。
「ケフカよ、お前には前線にも出てもらいたいが、その経験を生かすためにシドと組むがよい。
魔導の研究にも励み、我が帝国を最強にせしめる兵器を作るのだ。」
「仰せのままに。」魔導師は礼をし、シドは御意と言った。
お時間を取らせてしまいました。そう魔導師は去ろうとする。
「待て、ケフカ。」ガストラは呼び止め、魔導師は振り返った。
「期待している。」皇帝は言う。
「分かりました。」と、魔導師は微笑んだ。
研究所へ2人戻る途中、魔導師は不意に立ち止まり話しかけた。
「博士。僕は化け物ですか?」
少しの沈黙があった。
「君は、化け物なんかじゃない。」シドは答えた。
 初めて見たのは羽の生えた小さな幻獣だった。
見た目は小さいが、人間で言えば成人並みの知性はあるようだ。
「怖い。ここから出して。助けて。」
小さな幻獣は恐怖で震え、涙を流して懇願する。
私は、それを切り刻むのに立ち会った。
幻獣から魔導の力を抽出し、その命を奪う。
戦争という免罪符を得て、僕たちは彼らを殺し続けた。
0歳人間。誰にも望まれずに生まれた赤子だった。
魔導を注入するも、それを受け入れる器が出来ておらず、次第に衰弱していった。
やがて心臓の鼓動は弱まり、泣く力も失った。
最後はガラス玉のような眼球は何も映さないまま。
肉体はミイラのようになって死んだ。
10歳人間。元は活発で健康な子供だった。
成長期と共に、魔導の力はどう変化するのか。それが実験の目的だった。
注入後、力は定着し、魔法を使うことが出来るようになった。
若年での成功が初だったこともあり、研究所は湧いた。
数日後、精神に異常が見られるようになった。
失敗と分かれば誰も見向きをしなくなる。
半年後、経過の観察を断念、 隔離。
遠方にある灰色の病院で死んだと聞かされた。
魔導の注入はその者の運命を変え、失敗は人生の破滅を意味する。
僕はそのことを誰よりも知っていた。
魔法の存在を認識するたびに、少しずつ何か切り刻まれるような気がする。
「魔法の使用時、君の主観で良いんだが、体にどんな変化が起こっていると思う?」
「元々眠っていた力、それを爆発的に高めて開放する、そんな感じがする。思ったよりも違和感が少ないから。」
「元々眠っていた力か、生来の魔導士との比較が出来れば、改善に繋がるかもしれない。」
1つ。
「ケフカ、好条件の個体が近日入りそうだ。まだ若く小さいが、どうだろう。」
シドはそう言って紙を一枚渡す。
「なるほど、個体に問題無いですね。問題は液の量でしょう。
僕を1とするとそれは0.5、入れるとしたら半分よりも少なく。
それよりも抽出液の鮮度が気になります。出来るだけ早い方が良い。」
また1つ刻まれる。
科学者として心を凍らせて、魔導の力を得た成功者として振る舞い、
全てを求められるままに、受け入れることが出来たなら良かった。
声が聞こえて、体の中の幻獣が、死んでいった者たちが、僕自身が、僕を責め立てる。
彼らは死んだのにどうしてお前は生きている?
彼らの目が、声が、意識が、幾重にも絡み付いて、僕を死へ誘う。
でも、僕は死ぬのが怖い。
彼らの声を聞きたくなくて、僕は今思えばおかしなことをしていたかもしれない。
気がつけば、僕は独りだった。
もがくほどに逃げられなくなる。
全てを失った僕に残されたのは魔導の力。
初めて戦場で魔法を使った時。
未知の力。効果は絶大で、敵だけでなく、帝国の者でさえ恐れおののいた。
僕は戦場で初めて、人を殺した。
また声が聞こえた。
(彼らは死んだのに、どうしてお前は生きている?)
あの羽の生えた幻獣か。死者たちか。
(まだ殺し足りないのか。)
この力を使って、殺すべき者を殺す、それが僕の生きる意味なのかもしれない。
私は他の命を貪って生きる。
(殺しすぎたお前が生きていて良いわけがない。)
魔導工場。傍らにはシド。
「ケフカ、あれから十年になるが…お前は変わったな。私もだが。」
シドが自嘲気味に口にした。
「過去を振り返るなど年寄りのようだな。それに私は変わってはいない。」
シド、その血塗れた手、花を愛でようと、セリスに触れようと罪は浄化できぬ。
生を貪る愚かな人間。お前も死ぬのだ、シド。
意思を交わした人間もどうせ死ぬ。
永遠なんてありはしない。
さあ、早く、世界を焼き尽くす道具を。
 
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