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ケフカについて書きます。二次創作あり(文章) 小話「数年前121~123」更新しました。(2015年8月9日)
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日没をとうに過ぎた帝国軍施設のある一室。
レオは事務方の書類整理の仕事を手伝っていた。
歳末の様々な慌ただしさの中、将軍という身分のレオが忙しくないはずは無かったが、
彼は事務方にはいつも世話になっているという理由で、業務の手伝いを引き受けた。
それともう一つ、彼がまるで時間潰しとも言える行為をしている理由。

「レオ将軍、少し時間良いか?」
背後から声がして、レオは振り返り
「はい。」と 返事をする。

声の主はケフカ。
レオはケフカを待っていた。

「例の件だ。」
ケフカの用は以前から予定していた打ち合わせである。
ケフカもまた忙しくしており、今度の打ち合わせも、数度の延期を重ねていた。
ケフカは皇帝から直接用命を受ける事が多いが、最近はそれに拍車がかかっているようだった。
そのせいか、朝見かけた時には身に纏う雰囲気にピリピリとした緊張感が混じっていた。
しかし、今は幾分ほっとしているようだと、レオは感じた。


「あれ?」
手にしている書類をまとめるために、一瞬書面に目をやったレオはある点に気付く。
「どうした。」
ケフカは訝しげに聞いた。
「今日、誕生日では?」
レオはケフカの方を向いて聞いた。
「?」
不意の質問にケフカは一瞬思いを巡らせる。
さっきまで先々の予定に関する業務に忙殺されていたケフカは、日付の間隔が曖昧だった。
「…ああ。11月19日がそうだが。」
ようやく自らの誕生日を思い出して、ケフカは答えた。
「しかしそれを何故君が知っているんだ。」
ケフカは疑問を口にする。
レオに誕生日などを知らせた事などあっただろうか。
「これに書かれています。」
レオは例の書類をケフカに見せ、ケフカはそれを受け取る。
それは帝国軍に所属する人物の簡単なプロフィールが書かれた物で、そこには確かにケフカの誕生日が書かれていた。
「○○年生まれ…。」
「今日で30になる。」
レオは生年からケフカの年齢を推察するが、ケフカは先んじて答えた。
「30歳ですか。」
「ああ。三十路さ。…そういえば君は幾つだった?」
ケフカは自分の年齢に関しては興味無さ気な様子で、逆にレオの年齢を尋ねる。
「私は▽▽年生まれで、25歳になります。」
「そうか。」
ケフカはレオに対して、外見は老けているが年相応か。と思ったが口には出さなかった。
「シド博士は40から来るぞと言っていたな。」
ケフカは年齢の話題で思い出す。
「来る?」
「体に。だろう。博士のここ、見たか。」
ケフカは腹の辺りを押さえて言った。
「ああ……。」
シドの丸々とした腹を思い出して、レオは苦笑いする。
「年々大きくなっている。」
「そういえば。」
「研究所の白衣でも、もう隠しきれないと言っていた。」
「ぷ。」
レオは噴出した。

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ひとしきり軽口を叩いてから、レオは尋ねる。
「30歳になられて、何か変わりますか?」
「?いや…。30だからといって変わったと思う事は特にない。任務だったり、何かターニングポイントを経て変わる事の方が大きい。」
ケフカは答えた。
「ターニングポイント…。」
レオはケフカの言葉を反芻する。
自分にとってのターニングポイントは何になるのだろうか。
レオにはまだ分からなかった。

「さて話をしようと思ったが、その紙の山は?」
ケフカは聞いた。
レオの机の周りに積まれている書類の山。
それは周囲と見比べても、異質な光景だった。
「事務官の、手伝いをしていましたので。」
ケフカに指摘されて、レオはしまったというような表情をする。
幾らなんでも沢山引き受けすぎたと今更になって気付いたのだ。
これでは本来の業務より他の部署の仕事を優先していると捉えられても仕方がない。
レオは後悔した。
1人で今日中に終わらせられる量ではない。
何ぶんケフカを待たせる事になってしまう。
どちらにしろ、迷惑がかかってしまうだろう。

レオの幾分慌てた風を感じて、ケフカは周囲の事務官の様子を見る。
彼らは廊下をバタバタと慌しそうに歩きまわり、猛然と作業をしているようだった。
今度の遠征に端を発する種々の手続きが多いのだろうと思う。
彼らはもともと人手が多いわけではない。

「仕方ない。手伝ってやる。」
ふうとため息をついて、ケフカは言った。
大方、事務官らが忙しそうにしている様子を、人の良いレオが気の毒に思い、手に余る量の仕事を引き受けてしまったのだろう。
(義理堅い奴。)ケフカは思う。
「そんな、手伝ってくださるなんて…。」
レオはケフカの申し出に驚く。
ただでさえ時間が無い中なのに、これでは余計な仕事を増やしてしまう事になる。
「しかしそれが終わらないと話が出来ないだろう。」
ケフカは言った。
「しかし。」
「そもそも、こっちの都合で大分君を待たせた。だから構わない。」
ケフカは言う。
「いや…。」
「ほら、何をすれば良い?」
言い淀むレオを余所に、ケフカは急かした。
「すみません、ええっと…。」
レオは急かされるままに、ケフカ手順を知らせる。

2時間後。
室内の人は事務方の人間を含め、数える程になっていた。
2人の作業も終わりに差し掛かり、レオはほっとしていた。
「手伝わせてしまってすみません。」
「いや、気にするな。…んっ。」
ケフカはレオの言葉に応えようとするが、不意にせき込んでしまう。
「失礼。」
ケフカは顔を横に向けて謝った。
「いえ。」
レオが見ている分には、ケフカは先ほどから咳払いを何度もしていた。
少し喉が痛んでいるのだろうか。
そういえば日が落ちてから、寒さが急激に厳しくなってきた。
この部屋の暖房は夜間ある程度の時刻になると停止する仕様で、夜になると屋内とはいえ壁や床から冷気が伝わってくる。
細身のこの人には寒さが堪えるのかもしれない、とレオは思った。

「宜しかったら、この後、後輩に飯を奢らせてもらえませんか?」
レオは言った。
「は?」
レオの突然の提案にケフカは驚き、少し素っ頓狂な声を上げる。
「え?」
レオはケフカの反応に若干面を食らい、二人は顔を見合わせた。
「あの…。」
レオは自分の言葉が無意識に出てしまった事に気付いたが、もう後の祭りだった。
「この後、打ち合わせをすると言ったはずだが。」
ケフカは言う。
「…でも、ここは寒いですし、それに誕生日ですから。」
自分が背負ってしまった余計な仕事を手伝わせている今の状況で、それは言うべき事だろうか。
レオは内心そう感じながらも、口を告いだ言葉は意思に反していた。
「…良いですか?」
そう言ってレオはケフカの様子を窺う。
叱責されても仕方無いと思いながら。

「……。」
ケフカは少し考えて
「ふん、分かった。」と答えた。
レオの表情に喜色が浮かぶ。
「良かった。」
レオの提案を受けて、ケフカは朝から何も食べていなかった事を思い出した。
「さっさと終わらせて、君が連れていってくれる所で話そう。」
「ええ。」
「さて、30の誕生日に何を奢ってくれるんだろうな。この忙しい時に俺の手を煩わせた訳だから、さぞや…。」
ケフカは悪戯めいた様子で言う。
「あ…はは…は…。」
ケフカのプレッシャーに、まだ大してプランの無かったレオは焦りを感じ始めた。
「楽しみだ。」
ケフカは頬杖をついて、にやりと笑った。

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